。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
叔父貴―――……?
なん………で――――
「か、会長!」
タイガの緊張を帯びた声がした。
鴇田も驚愕の表情を浮かべて、あたしの首に回った腕とキョウスケの首を絞めていた手を同時に離す。
手の拘束から逃れたあたしたちは二人揃って床に崩れ落ち、激しく咳き込んだ。
ゴホ、ゴホッ…
「その手を離せ」とまだリコの首に回しているタイガの腕を、叔父貴が掴んだ。
その瞬間、リコはタイガの腕から逃れ床にばたっと崩れ落ちる。
「川上!大丈夫か!?」戒がリコに駆け寄ってリコの肩を軽く揺すると、咳き込みながらもリコが顔を上げた。
「龍崎くん……」涙が混じった声で必死に戒にしがみつくと、叔父貴はリコを力強い腕でひっぱりあげた。
「川上さん…だっけ。大丈夫か?」
リコは恐怖に歪んだ顔で、それでも何とか頷く。
その様子にあたしもほっと安堵した。
叔父貴が優雅に歩いてきて、あたしの元に屈みこむと、頬を両手で包まれた。
あったかくて、大きな……力強い手のひら。
「朔羅…大丈夫だったか?」
真剣な顔で覗き込まれて、あたしの頬や頭を優しく撫でる。
「―――……うん…」
何とか答えると、叔父貴はあたしの頭を引き寄せて、力強く抱きしめた。
「怖い思いをしたな。だが、もう大丈夫だ」
そう甘く囁かれて、あたしの強張った体から一気に力が抜けた。