。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「キャッ!」リコがぎゅっと目をつぶり、あたしにしがみついてくる。
あたしはそんなリコを抱きしめ、それでもその状況にちょっと恐怖を覚えた。
叔父貴が怖かった。
さっきはあんなにも安心できたのに―――今はただ…怖い―――
鴇田は叔父貴の腹心の部下だ。いっつもセットになってるぐらい可愛がっているし、仲がいい。
だけど―――叔父貴は手のひらとは反対側の…手の甲で鴇田の頬を打った。
骨がある分、そっちのほうが何倍もの威力があるしダメージも計り知れない。
叔父貴は眉間に深く皺を寄せて、鴇田を睨んでいた。
ぞくり、と背中を嫌な恐怖感が撫でていく。
叔父貴のあの据わった目は―――前にも見たことある。
あれは――――そう……雪斗を殺したときのあの目。
「どうやら龍の逆鱗に触れたみたいだな」戒があたしの真剣身のある声で、耳元でそっと囁いて、あたしは顔を上げた。
そう、その目は怒り猛った龍の――――眼孔。
鴇田は目を開いたまま、打たれた側に顔を傾けてその場で固まっている。
鴇田の口元から血が浮かび、きれいな線を描いて顎のラインに伝い落ちた。
その様子にあたしは眉を寄せ、ちらりと戒とキョウスケを見ると二人とも険しい顔つきで叔父貴と鴇田を見据えていた。
タイガはびっくりして肩を揺らし、あたしの腕の中でリコが小さく震えている。
「馬鹿か、お前は!!あいつはキョウスケにピアスなんて渡してないし、取られてもいない!」
戒がちょっとだけ首をひねり、キョウスケの方を見下ろした。
あたしも同じようにキョウスケを見て、キョウスケは力なく笑った。
鴇田が目を開いてキョウスケを見て、すぐに叔父貴に顔を戻す。
「お前はイチに担がれたんだ。20前のガキにな!!ついでに言うと、ここに俺が来るよう仕向けたのもあいつだ!
分かってンのか!!あいつは俺たちの間を引っ掻き回して内部分裂させるのを図っているんだぞ!」
内部――…分裂………
何でイチが…