。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
叔父貴が鴇田の手に絡ませた指に力を入れたようで、しんと静まり返った部屋で、ミシッ…と言う骨と骨が鳴る音が聞こえた。
鴇田の指先が震え、
「いっ!……」と声を出し、目を強く閉じる。
叔父貴―――指の骨を折る気か!!?
「や…!」リコが顔を背けて、とうとう泣き出した。
あたしはぎゅっとリコを強く抱きしめると、叔父貴の方を見た。
「―――や、やめろよ!!」
あたしの声に叔父貴の動きが止まる。
「朔羅……」戒が心配そうにあたしの肩に手を置く。
だけどあたしはその手を振り払った。
そりゃ鴇田は普段ムカつくやつだけど、そこまでする必要がない!それにここにはリコがいる。
こちらを振り返った叔父貴の顔は―――まるで修羅のように険しかった。
「り、リコも居るんだぜ!?そ、それにいまどき指一本でオトシマエなんてふ、古いんだよ!」
あたしの搾り出すような怒鳴り声に、鴇田が肩の力を抜いたようだった。
「あ、あたしは大丈夫だし、そんなことやめろよ!」
叔父貴がゆっくりと鴇田の手から、自分の手を離す。
鴇田は急に力が抜けたのか、がくりと床に手をつき激しく肩で息をしていた。その両肩をタイガが支えるように引き寄せている。
それでも
「―――っつ!」と鴇田は顔を歪めて、叔父貴に握られた方の手を震わせてた。
折れてないにしても、ヒビが入ってるかもしれない。
「おい、戒。ドクターを呼んできな。下に居るだろうからよ。それからリコとキョウスケも連れてってくれ」
顎で廊下の方を指し示すと、ちょっと迷ったのち、
「川上…」と言って戒は泣きじゃくるリコの肩を支えながら、部屋を出ていった。
キョウスケもあたしに言われた通り部屋を出て行こうとしたが、ちょっとだけ心配そうに振り返り、
それでもあたしはぎこちなく笑顔を浮かべて廊下の向こうを指し示すと、大人しく出て行った。