。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
後に残されたあたしたち四人。叔父貴と鴇田。タイガとあたし―――
「鴇田。朔羅に感謝するんだな」
叔父貴が床に膝を着いた鴇田を冷たく見ろして、腕を組む。
鴇田がのろのろと顔を上げ、あたしをちらりと見たけれど、何か言葉を発することはなかった。
「鴇田。お前は一週間の謹慎だ。会社に来なくていいし、事務所にも顔を出すな。タイガ、お前もだ」
二人はびくりと肩を揺らして、叔父貴を見上げる。
叔父貴はそんな二人に無情にも、
「鴇田、イチをしっかりと手懐けておけ。今後キョウスケを追い回すことがないよう、きつく言い聞かせろ」
と低く言葉を発する。言葉自体は淡々としていたけど、その声音は低くてドスが含んでいた。
決して大きな声でないのにその声はよく響き、あたしの胸をズンと締め付ける。
それにしても―――イチがキョウスケを追い回していた……?
どうゆうこと……
そんなことを考えていると、ドクターが姿を現した。
床に膝をついている鴇田とタイガ、そしてその前で腕を組んでいる叔父貴を見て、わずかに目を細める。
いつものふざけた笑顔は浮かべておらず、いつになく真剣な顔で叔父貴を見るとすぐにあたしの方に視線を向けてきた。
「派手にやったようですね」
ちょっと呆れたように言い、鴇田の元へ屈みこむ。
ドクターは鴇田の手を取ると、
「穏やかではないですね。お嬢さんも居る前でこんな事態―――あなたらしくない」
とこちらを振り返らず静かに言った。
「口ごたえするな。お前は自分の仕事をしろ」
吐き捨てるように言って、叔父貴は疲れたように眉間に手をやった。