。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
呆然としながら叔父貴の後ろ姿を見送って、その背中が見えなくなるとあたしは急に力が抜けたように戒を抱きしめた。
「戒―――…」
こいつの腰に腕を回し、ぎゅっと力を入れると戒はあたしの頭を優しく撫でた。
「……もう大丈夫だ。それにあいつはお前だけには手出ししないし、安心しろ」
なんて的外れなことを言われて、あたしはちょっと顔を上げた。
顔を上げると、戒が苦笑しながらもあたしの髪を撫で梳く。
「そんなことが言いたいんじゃない!叔父貴は暗にこれ以上深入りするなっ!って警告してきてるんだ。
これ以上立ち入ると、今度はお前たちが……」
あたしが不安に眉を寄せると、
「分かってるって」と、戒が宥めるようにあたしの頬を包む。
「でもこれで分かりましたよね?龍崎会長と鴇田さんのあの様子からすると、俺たちが何か掴みかけてるってことだ」
とキョウスケが床にあぐらを掻いた。立っているのは辛いみたいだ。
あたしとは違った意味で、額に汗を浮かべている。
きっとまだ下がらない熱のせいだ。
「ああ。だけどあのイチって女…相当頭がキレるヤツだな。あの女を黙らせる必要がある」
戒が宙を睨んで、そしてその険しい視線のままキョウスケを見下ろす。
「黙らせるって…殺すってこと!?」
「バカ。そんなことするかよ。とりあえず俺たちはあの女が何者であるか、目的は何なのか探る必要がある。
どうするか考えるのは、その後だな」
「…ええ。ここはやはりタイガさんの誘いに乗ってあの女に会うのが先決ですね」
とキョウスケが冷静に答える。
「もうやめよう!そんなことっ!!もういいよ!お前らの命に関わるンだぞ!」
あたしが怒鳴ると、二人は真剣な目をあたしに向けてきた。