。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
*鴇田Side*
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―* 鴇田Side *―
御園医院で手当てを受け、俺は都内のホテルに向かった。
一結が宿泊しているはずのホテルだ。
俺が前触れもなく尋ねると、起き抜けなのか欠伸をしながらイチが扉を開けた。
「昼寝してたんだよね。何?」
と不機嫌そうに答えられ、苛立ちが募った。
「何じゃねぇ。お前やってくれたな。キョウスケにピアスを渡したと言ったろう。ご丁寧にあれがあればDNA鑑定が出来るって言ってな」
低く言うとイチは目を細めて、口の端を吊り上げた。
「龍崎 琢磨もそっちに向かったでしょ。キョウスケは熱を出して寝込んでたんだって?残念、あたしが行けば良かったわ」
イケシャアシャアと言ってのけるイチの腕を俺は強引に掴んだ。
「キョウスケに会いに行ってどうするつもりだったんだ」
「痛い。離してよ」イチは顔を歪めたが、俺は手を緩めなかった。
「言え!どうするつもりだったんだ」俺が怒鳴ると、イチは深くため息を吐きながら長い髪を掻き揚げた。
「別に殺すつもりはないよ。今のところね。ただ熱があればも少しまともに話せるかな、って思っただけ。
あいつ普通にしてたら話通じないんだもん」
「俺もお前の言葉は理解不能だ。来いっ。しばらく俺のマンションにいてもらう」
俺がイチの腕を引っ張ると、イチは益々表情を歪めた。
「はぁ!?何言ってんの?あたしがあんたのマンションに?冗談でしょ!」
「勝手なことをされたら適わんからな。それとも力ずくで連れて行こうか」
俺が軽く手の関節を鳴らすと、イチはちょっと考えるように目を細めて、
「分かったわよ。行けばいいんでしょ、行けば」
と渋々頷いた。