。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
時間は夜の19時。丁度帰宅するサラリーマンやらOLとかで駅はごったがえしていた。
「じゃぁ朔羅、また連絡する~……」
言いかけてリコの顔色がさっと変わった。
「大変!龍崎くん、隠れてっ!」
慌てて戒を柱の影に押しやり、戒はわけも分からず
「はぁ?何だよ、急に!」
なんて顔を歪めた。
急にどうしたんだろ…そう思って人の波を見ると、見たことのあるおじさんがこっちに向かって手を振っていた。
リコの―――お父さん……!
「いいから、言われた通りにしろっ!」
あたしは戒を無理やり柱の影に押しやると、慌ててリコの隣に並んだ。
「理子♪それに朔羅ちゃんも。遊んでたのかい?いつもうちの理子と仲良くしてもらってありがとうございます」
リコパパは律儀に頭を下げてきた。
「い、いえ!仲良くしてもらってるのはあたしの方で…」
慌てて手を振ると、おじさんはにっこり笑い…しかしすぐにさっと険しく表情を変えた。
「さっき理子の近くに男の子が居た気がするんだが…」
「き、気のせいだよ。お父さん今帰り?一緒に帰る?」
とリコが慌てる。
「気のせい??う~ん…」
それでもリコパパはまだ疑いのまなざしで辺りをキョロキョロさせている。
「り、リコ今日は楽しかったよ!☆またね」
「う、うん!それじゃね」
あたしは慌ててリコを駅の改札口の方に促すと、それでもまだ疑っているのかリコパパが口の中でブツブツ唱え、
それでもリコに引きずられるようにして改札の奥へ消えていった。