。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
戒が穏やかに笑って、あたしの頭をぽんぽんと軽く叩いた。
あたしは―――そんな風に言ってもらえたことがどうしようもなく嬉しくて、胸の奥が熱くなった。
戒と手を繋ぎながらゆっくりと帰り道を歩き、
「父さんはさ、龍崎組のもんじゃないんだ。青龍会分家の―――霧生組の跡取りでさ」
と何となく説明をする。
「キリュウ?」
戒の視線が一瞬だけ険しくなり、あたしは思わず苦笑い。
「今は霧に生まれるで“霧生”って呼ぶけど、その昔は“木”に“龍”って文字をあてがったって。
そう言う意味で本当の青龍の末裔って言ったら、もう叔父貴しか残ってない。
母さんは青龍の娘じゃないし、あたしも、親父がいくら分家筋だからって言っても血が薄まってるからな~
叔父貴に子供ができればまた話は変わってくるんだけど」
だけどそれよりも早く、叔父貴は戒を次の後継者にしようとしている。
今時、血族での世襲制なんて流行らないし、元々ヤクザなんて擬制の血縁で繋がってる。
敵対する白虎と手を取り、互いに条約を結ぶ方が利に適っている感じはするけど、次の世代には確実に白虎との混血だ。
あたしは戒が好きだから、戒の子供を生みたいと思うけど―――叔父貴は……
どうなんだろう。
「叔父貴はさ、一体何を考えてるんだろうな……?」
あたしの手から力が抜け、戒がしっかり握ってなかったらその手は離れていくだろうけど、
戒はあたしの手を力強く握り締めた。
まるで離さないように。
どこにも行かないように。