。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
ファザコン!?
◇ ファザコン!? ◇
不思議だな……
母さんの記憶なんてほとんどないのに、香りだけはしっかりと覚えている。
母さんの愛用していた香水のかおりが僅かに香ってきて、あたしは目を閉じた。
しっとりとした百合の香り―――母さんの名前と同じ……
白くて気高い―――気品のある香り―――
いつかあたしもこんな香りが似合う大人の女になりたいな。
「マサはさ、母さんのこと覚えてる?叔父貴やお前はあたしに良く似てるって言ったけど、実際のところどうなの?」
そう聞くと、マサは考えるように首を捻った。
「確かに姿や顔かたちは似てますけど―――性格はあんまり似てないですね。お嬢の中身はやっぱり前会長似ですかね」
「何だよ。暴君で喧嘩っぱやいって言いたいのかよ」
思わずマサの胸ぐらを掴むと、
「あ!お嬢!!先代のお写真がこんなところに」
なんてマサは慌てて古びたアルバムをあたしに差し出してきた。
埃かぶってたけど、中を開くと鮮明な写真がきちんと整理されページに貼り付けてあった。
若い頃の親父と母さん二人で映ってるものもあれば、生まれたばかりの赤ん坊を交えて三人で映ってるのもある。
学生時代の叔父貴や
―――雪斗の写真も。
組の連中全員で集合した写真も載っていて……でも、どの写真もみんな幸せそうに笑っている。
幸せそうに―――