。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
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「おはようお帰りやす。(いってらっしゃいの意)」
なんて鈴音姐さんに手を振られて、あたしたち三人は揃ってホテルを後にした。
「はぁ~…あんなきれいな人がお母さんだったら、あたし自慢しちゃうなぁ」
と、行きの電車に揺られてリコがうっとりしたように頬を緩ませる。
「「…………」」
あたしとキョウスケは無言で前を向いた。
だってリコは知らないから!
あの人、普段はきれいで上品だけど、ほんっとうに怖い人なんだよ!(キレるとね)
「でも龍崎くん、来れなくて残念だね」
リコがちょっと寂しそうにあたしの方を窺って、あたしは無言で顔を横に振った。
「戒さんもよくよく運のない人ですね。その分俺が華を独り占めですけどね」
なんて真顔で言うキョウスケ。
ってか“華”って!さっすがフェミニストめっ!!
って言うか前だったらこんなこと言わないキャラだったのに、キョウスケが(少しずつだけど)変わったのて最近だよな。
隣の座席に座ったキョウスケをちらりと見上げると、相変わらずの無表情で向かい側の窓の外に流れる景色を眺めていた。
まるで流れる景色のように……キョウスケが変わった。
ううん
変わったのはあたしだ。
景色はずっと動かない。動いているのは電車で―――
ありがちな錯覚だけど、
でも時が流れると同時に、あたしの中で確実に何かが変化していたんだ。
あたしがキョウスケを深く知ろうとしていたんだ。