。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
それからあたしたちはのんびりと会場の中を回った。
りんご飴やカキ氷を食べて、ちょっと小休止。
会場に置かれたベンチがちょうど二人分開いてたからあたしたちはそこで休むことにした。
こうゆうときは、リコとキョウスケを隣同士に座らせるべきだよね。
なんて思ってにこにこ二人を見ると、
「どうぞ、座ってください」なんてキョウスケがさらりとあたしたちをエスコート。
まったく嫌味じゃない動作に思わず腰掛けてしまって、はっ!となった。
「い、いやいや!あたしは大丈夫だからさっ!キョウスケ、お前座れよ」
なんて、ぐいと腕を引っ張ったがキョウスケはやんわりとその手を払ってあたしを再び座らせた。
「お嬢、鼻緒擦れしてるじゃないですか。絆創膏貼って少し休んだほうがいいです」
キョウスケに言われて、先が丸くなっている下駄を見やると赤い鼻緒の下で皮膚がこすれて、赤く擦り傷が出来ていた。
キョウスケは……気付いてたんだ…
「あ!ホントだぁ。朔羅、あたし絆創膏持ってるよ」と用意がいいリコが巾着から絆創膏を取り出す。
「リコさんも痛そうですよ。貸してください、俺が貼ります」
なんて言ってキョウスケは絆創膏をリコから取り上げると、リコの足元に屈んだ。
リコはびっくりして、薄暗い空気の中でもはっきりと分かるほど顔を赤くしていた。
「お二人とも痛かったら、言ってくださいよ」
身を屈ませて、キョウスケが相変わらず淡々とした口調で呟く。
リコの足の指に絆創膏を貼るキョウスケの手は、すごく繊細な動きをしている。
その手が、喧嘩になるとかなりの威力を持つ拳へと変化するなんて誰が想像するだろう。
あたしはキョウスケから視線を移し、リコを見た。
リコも恥ずかしそうにほんのり笑ってちょっと舌を出した。
「実は少し前から痛かったんだけど、言い出せないじゃん?恥ずかしいし…」
とリコがそっと耳打ちしてきて、あたしは目をまばたいた。
あたしは痛みをあんまり感じなかったけど、リコは我慢してたんだな。
リコの足元で丁寧な手つきで絆創膏を貼るキョウスケを、リコが見下ろしてドキドキと心臓の辺りを押さえていた。
リコは女のあたしから見ても可愛い。
そんなリコを少しでも手助けしたい。
でもこの鈍感男はなぁ~
「キョウスケは分かってないなぁ。複雑な乙女心ってやつを」