。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「それはまた……どうして?」
響輔は訝しそうに眉を寄せた。
「あいつにこれ以上隠し通せない。俺が隠しているとあいつは組の誰かや、ダチに聞く筈だ」
「まぁ、そうですね。あの性格からしたら」
響輔はふぅとため息を吐いた。
「でもこの大変なときに言うべきですかね?」
「大変なときだからこそ言うんじゃねぇか。これ以上あいつに嗅ぎ回れたら厄介だからな」
ぞんざいに言って、俺は浴槽の縁に両脚を投げ出した。
「厄介―――ねぇ……」響輔は頷くと、遠くの方に視線をやる。
その横顔に何か意味深なものが感じ取れる。
なんか…昔からこいつのこと知ってるけど―――最近妙に大人びて…っていうか色っぽくなった?
普通の女ならこんな男から言い寄られたら一発で堕ちるな。
もし…
もしもの話だ。朔羅の花婿候補が俺と響輔だったら―――
あいつはどっちを選ぶだろう。
なんて考えながらも、
「何だよ」
俺は面白くなさそうに唇を尖らせた。