。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「誰でぃ?」
あたしはテッタ?ユウヤ??どっちがどっちかわかんねぇ。
とにかく二人にこそっと聞いてみた。
「中尾組のチンピラです。ここいらは浅田組と中尾組のシマのちょうど境界線にあたる場所で、難しいとこなんですが」
と二人が苦々しげに表情を歪めた。
中尾組のチンピラたちが、屋台の骨組みになるステンレスの柱をガンッと蹴ると、
いかにも、と言う雰囲気に恐れをなしたのか、隣の若いカップルは逃げるように立ち去っていった。
リコもキョウスケの後ろに隠れて、縮こまっている。
「おい、キョウスケ。リコを連れてここを離れろ。それから龍崎組に連絡してこの土地が厳密にどう分けられてるのか調べてくれ」
「お嬢、ここは二つの組の境界線です。下手なことしたら…」
「分かってる。だけど中尾組の連中もカタギがたくさん居るここでは身動きできないはず」
キョウスケは最初渋っていたものの、それでもやっぱりリコの存在がデカかったのか、ちょっとだけ心配そうに眉を寄せると、立ち去ろうとした。
とりあえずリコを守るのが先決だ。
なんて思ってる傍から、
「何だよ、この金魚は!」
がはは、と下品な笑い声を上げた中尾組のチンピラが水槽を一蹴り。
バシャンっ!!
水槽が引っくり返り、中に入っていた水が派手に零れる。
さっきまで思い思い泳いでいた金魚たちも、地面に転がりビチビチと尾をばたつかせていた。
「き、金魚がぁーーー!!!」
ブチンっ!
あたしの中で何かがキレた。