。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


すぐ近くに居たもう一人のチンピラがあたしに襲い掛かってこようとしたのに気付いて、あたしは腕を捻り上げたチンピラごと素早く振り返り、襲い掛かってきたヤツに思い切りぶつけてやった。


ゴンッ!!


鈍い音を上げて、二人が地面に崩れ落ちる。


決して倒せない人数じゃないけど、


この場所で闘うのはやっぱり難しい。


何より浴衣だから動き辛い。だけどカタギだって大勢居るし、リコを傷つけるわけにはいかない。


「ぉるぁ!!」


肘鉄をお見舞いして一人片付ける。


それでもまるで狭さを感じさせないような優雅な体勢で、キョウスケは膝蹴りやら、回し蹴りでチンピラどもを倒していく。


ガンっ!ゴスッ!!


鈍い音がして、キョウスケがチンピラの二人を片付けて、地面に沈めたときだった。


「兄ちゃん!これ使いなっ!!」


金魚すくい屋の隣に構えたたこ焼き屋のおっちゃんが、たこ焼きをひっくり返すピックをキョウスケに投げた。


「てめぇら何もんだ!」


あたしのすぐ背後で一度倒したはずのチンピラがむくりと起き上がり、それに気付いたあたしは、一瞬だけ振り向くのが遅かった。


ドスッ!


鈍い音がして、そろりと前を向くとキョウスケが振りかぶっていた。



後ろを振り返ると、チンピラの手の甲にピックが刺さっていた。赤い血が流れ、チンピラが情けない声を上げて手を押さえている。




「あかん。外してしもたわ」と無表情にさらりとキョウスケ。




キョウスケ………




どこを狙ったって言うんだよ。



ここに居る誰よりも、おめぇが一番怖えぇよ!!!




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