。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「さっきから何ごちゃごちゃやってるんだよ。逃げる作戦でも立ててるのか?」
チンピラの一人がにやにや笑みを漏らした。
「誰が逃げるって言った!」
逃げた方が良いのはお前らだっ。何せ“あいつ”が動いているんだからな。
逃げ惑う人々の中で、ひっそりとこちらの出方を窺っているその気配は、闇の中でうごめく得体の知れない生き物のようだ。
それは人という森の中で、獲物をしとめるため鋭く眼孔を光らせている
ホワイトタイガー
「威勢のいいお嬢さんだ。おい、やっちまいな!」
チンピラが掛け声を掛けると同時だった。
またも覚えのある…でも今度は違う気配を感じて、あたしの頭上に影が落ちた。
一人…いや……その数十数人。
ザッ!
土がむき出しの地面を男たちの足音が響いた。
「てめぇら、誰に向かってもの言ってんだ?
この方は天下の龍崎会長の姪御様。
会長のご寵愛深い、この方に手ぇ出してみろ。
地獄に堕ちるよりひでぇ仕打ちが待ってるぜ」
低い唸るような声で、
マサが腕を組み、その背後にはタクをはじめとする龍崎組の組員がずらりと並んでいた。