。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
俺がそんなことを考えてるとも知らずに、響輔は無表情に俺を見てきた。
「お嬢にキャンサーセンターのことを言うのは、白虎のためですか?盃の話が固まるまで、彼女には下手な動きをとられたくないと?」
「それ以外何があるんだよ」
「―――いいえ」
響輔は顔の筋肉一つ動かさずに、再び前を向いた。
響輔は―――きっと、俺の本当の気持ちに気づいている。
下手な動きをとられたくない。ってのはまぁちょっとはあるけど、
でもそれ以上に、あいつを、朔羅を傷つけたくない。
響輔は気付いているのに……だけど敢えて問いただそうとはしない。
こいつのこうゆうところ―――俺は……
嫌い。
「で、素直に話すんですか?」
「話すわけないだろ?あいつにはもっともらしい嘘でごまかす」
「信じますかね」
「演技次第だ。お前にも手伝ってもらうぜ?ヘタうつなよ」
響輔は自信なさそうにちょっと鼻の頭を掻いた。
「まぁやれるだけはやってみますが」
「あいつは素直だからな。いつも通り喋ればあっさり信じるさ」
「そこが可愛いところでもありますよね」
響輔の言葉に、俺はこいつの横顔を再び見た。
こいつの口元に淡い笑みが浮かんでいる。
響輔―――やっぱお前―――……