。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「へ?ご存知ないんですかぃ?この花火大会、龍崎グループが半分以上の出資してるんスよ」
「叔父貴が?」
あたしは目をまばたいた。
「毎年スポンサーをかって出てるんすが、今年は中尾組の動きが怪しいってんで、俺ら見回りを命じられたわけでして」
「はぁ~そゆうことね。んで、当のご本人は?」
「いえ。会長はお忙しいので本社に篭ってお仕事されてやす。詳しいこと分からないんですが、鴇田の旦那も今不在みたいですし、余計に忙しいみたいで」
なるほど……
本来なら鴇田が出てくるであろう場面で、竜崎組が出ばったわけも納得だ。
あいつ、まだ謹慎解けてないんだな。
再び賑やかな客の声が聞こえて、あたしは会場に目を向けた。
「お嬢はキョウスケと一緒に来たんですか?あいつもいつの間にか消えちまったし、店でも回りやす?」
タクが人懐こっそうに笑って会場に目を向けたが、
「あ、いや…いい。あたしちょっと行きてぇとこあるからさ」
と言って慌てて手を振った。
「行きたいとこ?」
タクは探るように眉間に皺を寄せた。
まさか、“あいつ”が来てるかもしれないから探しに行きたいとは
言えねぇ。
「お前はデリカシーがないヤツだな!!トイレだよ!馬鹿やるぉう!気付けってんだ!!」
あたしが怒鳴ると、タクは慌てて
「す、すいやせんでした!!」
と慌てて頭を下げ、「どーぞ、どーぞ」とあたしを会場に促した。