。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


祭囃子の音が遠くなる―――それはどんどん現実と離れていくようで、そこがちょっと怖かったが、


何より興味があった。


殆ど導かれるように鳥居をくぐっている間、あんなに煩かった蝉の鳴き声も―――いつのまにか遠ざかっていった。


空気が研ぎ澄まされ、いかにも“神”を奉っている仰々しい…いや、神秘的な雰囲気だ。


その空気の中で僅かな声が聞こえた。


謳うような軽やかな声。




それは幼い子供の声であり―――だけど男なのか女なのか区別がつかなかった。




♪かごめ、かごめ~


籠の中のとりは…♪





「かごめの歌……」


あたしがはっとなって身を強張らせる。


以前、青龍会本部でイチが歌っていた……



―――それは、あたしたち極道の組織に置いて禁忌の歌。



大体、こんな時間に子供がこんな神社を出歩くか?




♪いつ~いつ~


でやぁる~♪



ドキリ、として足を止めると…




バサバサッ!



頭上で音がした。




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