。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


はっとなって空を仰ぐと、鳥居の隙間から黒い鳥が空をまたぐように飛び交っていた。


「……カラス…」


びっくりさせるなよな。もぉ。


カラスは黒光りする大きなくちばしを開け、まるで空をも支配するような勢いで羽を伸ばし、その薄気味悪い姿にぞぞっと背中に悪寒が走る。


慌てて顔を戻すと、すぐ目の前にお社が現れた。


小さなお社だった。


紅の格子がはめ込んであって、中の様子がちらりと見える。


あたしは格子の間から中を覗いた。


中は薄暗く、だけど小さな龍の置物が飾ってあった。その向かい側には―――


鳳凰の―――置物。




伝説の不死鳥―――――朱雀………




二つの置物の間は距離にして1m弱ってとこか。


二つの像は伝説の生き物であり、その眼孔はそれぞれの迫力を湛えた威力のあるものだった。


その迫力のある射るような視線に、思わずたじろいで一歩後退するものの…


でも一方で


その向かい合う二つの像は、まるで互いを求めているかのように


見詰め合っているように見えた。


その悲しそうな切なそうな視線に、あたしの心臓がズキリと小さく鳴る。


異なった種族は互いに交わることがないけれど、でも互いを求める気持ちがそのものの悲しい雰囲気を漂わせているのか…




ひどく切なくて―――


ちくりと胸に痛みが走った。



そう……その異なった種族は互いに相手を求めているのだ。






そのときだった。




「本当にこんなところにあの女が居たのか?」



遠くの方で、さっきの中尾組の連中の一人だと思われる声が聞こえた。




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