。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
あたしはお社の影に隠れるように身を潜めると、そっと会話に聞き耳を立てた。
「間違いないっすよ。一回見りゃ忘れられない容姿っすから」
「確かにありゃかなりの値で売れるな」
「中国マフィア辺りに売ったら、青龍会にへこへこしなくてもあっしら大きな顔できますぜ」
売る?中国マフィア??
あいつら…成り上がりの新参者のくせしやがって。
でも、足音だけでもかなりの人数…
一人で倒せるか…
何せ動きにくい浴衣だしな。
ここは人気もない神社だし、下手に喧嘩吹っかけるのも得策じゃない。
そう踏んで、お社よりさらに奥深い森みてぇな路を駆け上がろうとした。
だけど
ブチッ…
突如下駄の鼻緒が切れて、あたしは盛大に転んだ。
ドタッ!
「わ!」
慌てて身を起こし、足首を押さえると声を聞きつけたのか、バタバタと連中の足音が迫ってくる。
転んだ拍子に足首を捻ったのか、起き上がることもままならない。
やべ…
足首を押さえて顔を青ざめていると、
またもあの気配を感じた。