。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
大義名分!?
◇ 大義名分!? ◇
「中尾組のシマ!?あそこがっ!!?」
ぅっわーー!!どうしよ!!
思い切り暴れちゃったよ。
……でも、あの連中をあのままのさばらせるわけには行かなかった。
って、理由付けるけど、あたしがやったことは明らかにルール違反だ。
「組同士のシマ争いはどこでもあることだ。誰も怪我人が出てないし、サツも嗅ぎまわっていない。
まぁ今回はお前が悪いかもしれんが、風評の良くない中尾組の連中には手を焼いていたからな、灸を据えるにはちょうど良かった」
叔父貴はそう言って僅かに笑った。
「ちょうど良かった?」
「地元の人間も手をこまねいていたしな。
ヤクザだって社会の一部分だ。地元とうまやっていかなきゃ何かと不便だ。
これを機にあの土地を正式に浅田組に明け渡す。次の役員召集会議は荒れるな」
叔父貴は他人事のように言って笑う。
正式に浅田組に―――……
そりゃテッタ&ユウヤだったら地元の人間とうまくやっていけると思うけど。
「……ごめん、叔父貴…迷惑掛けて」
おずおずと叔父貴を見上げると、
「別に迷惑だと思ってない。シマだとか縄張りだとか色々面倒だが、
お前は正しいことをしたと―――俺は思ってる」
「正しいこと……?」
何が正しくて何が正しくないんだろう。
どこの世界でもルールってのはあるし、それがどんなに不条理なことでもそれに従わなければ世界は成り立たない。
「ルールってのはぶっ壊すために存在する」
叔父貴はフッと悪戯っぽく笑って、あたしの頭を撫でる。
ぶっ壊すって…
「作るんだろ?戒と一緒に―――新しい極道の世界を」
戒と一緒に―――
つがいの“龍”が……離れ離れじゃなく、手を取り合って
世界を統治する。
「お前は金魚を守った。それは立派な大義名分だ」
叔父貴の手のひらがあったかくあたしの頭を撫でて、あたしはその体温に……ちょっと安心した。
「見せてもらおうじゃないか、新しい世界ってのを」
叔父貴はちょっと色っぽく笑って顎に手を掛け、でもその笑顔はどこか少年っぽいあどけなさが同居していた。
まるで挑発するような、それでいて新しいことに挑戦するようなワクワクした何かを待ち構えているような笑顔。
見せてやるよ。
新しい世界を。
叔父貴が築き上げてきた世界を、きれいな宝物のようにまもって、
いつか叔父貴にプレゼントしてあげるんだ。