。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
戒はあたしと目があっても逃げ出そうとはせず、ついでに言うとまばたきをしてもその姿が消えないことから、それが幻じゃないことを知った。
『悪りいな、こんな回りくどいことして…』
離れた場所で、戒が寂しそうに……悲しそうに眉根を寄せる。
人の波があたしたちの間を行ったり来たりしているが、その波からちらちらと見える戒の姿は
近いけど―――遠い―――……
「…ホントだよ…お前、一体何がしたいの」
『……ちゃんと…』
戒は息を大きく吸い込むと、決心したようにまっすぐにあたしを見据えてきた。
『ちゃんと琢磨さんに向き合って欲しかったから。
あんな仲違いみたいなことになって、後悔して……
悔やんだときが手遅れだったら、やっぱり嫌だったから』
「…後悔?」
それはこないだも聞いた。確かあれは……バイトの帰り道……
『俺はいっつもお前の傍に居られるけど、お前は琢磨さんと会いたくても会えないだろ?
琢磨さんも一緒だよ。
今日はいつもの逆。俺が遠くからお前を見守る番。
いつも琢磨さんがしてるみたいに―――』
戒が僅かに顔を伏せた。