。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「俺が黄龍を襲名しても、あいつの態度は変わらなかったよ。
相変わらず口うるさいし、時々何を考えてるのか今でも分からん」
叔父貴はちょっと遠い目をして、それでもキっとあたしに顔を向けてきてあたしは思わず身を引いた。
「俺ぁ鼻折られたんだ。だけどその分あいつの肋骨を折って仕返ししてやったけどな。
今更指の一本ぐらいでガタガタ抜かすんじゃねぇ!
と、まぁ俺にも言い分はある」
なんて言って叔父貴はふんと鼻を鳴らした。
言い分て……高校生の頃の話じゃねぇかよ。十年ぐらいは経ってるだろ?叔父貴根に持ってんなぁ…
ってことは―――あれは、二人なりの喧嘩だったわけだ…
ってか喧嘩もスケールでかっ!!
でも、きっとあのときの二人は本気だった。
今はこうやって笑ってるけど、一週間二人が二人とも考えたに違いない。
一週間鴇田を遠ざけたのは、叔父貴の方が頭を冷やしたかったんじゃないか―――
そんな気がする。
「と、まぁ。俺とあいつは普段通りだからお前が気に病むことはないぞ?
何て言うの?
オトコの友情は―――そんなもんだ」
叔父貴はちょっと恥ずかしそうに顔を逸らして、
「花火きれいだな…」なんてぽつりと呟いた。
さっき青白く見えた横顔に、今度は淡い赤の色が差していて……
それが花火の色の反射でないことに気付いた。
何だ……
叔父貴はさっき「鴇田は俺の一部だから好きとか嫌いとかじゃない」なんて言ったけど、
それを『好き』って―――
言うんだよ。