。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
『虎間 戒でしょ?龍崎会長でしょ?それから、鷹雄 響輔も。みぃんな朔羅が好きなんだよね。
愛されてるっての?モテモテじゃん。
確かに顔は可愛いけど、口は悪いし、ガサツだし、品がないし、バカっぽいし。
何であの子がそんなに愛されるのか分かんないわ』
以前、イチがつまらなさそうにぼやいていた。
聞けば随分なことを言っているが、否定できなかった俺。
実のところ俺もそう思っていた。
何故会長たちはあの娘のことを、そこまで求めるのか。
だが少し……少しだけ、分かった気がした。
俺は右手でハンドルを操作しながら、左手の薬指を見つめた。
まだ僅かな痛みが残っているが、生活に支障はない。
お嬢が会長を止めてくれなかったら、しばらくこの指は使い物にならなかっただろう。
そしてお嬢はあの後、俺の指を心配してくれていた。
不本意そうだったが、気になっていたのは事実みたいだ。
「伝説の黄龍―――か……」
その姿は美しく気高く、強い。
圧倒的な力を誇るその存在は、それと同じだけ、
優しいのだ。