。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
叔父貴!?
◇ 叔父貴!? ◇
花火も終盤に差しかかろうとしているのだろうか。
様々な形をした色とりどりの花火が空を多い尽くすように、連続して打ちあがる。
花火が打ちあがる音に混じって、叔父貴のケータイが鳴った。
TRRR…
「ああ、俺だ」
叔父貴があたしの隣でケータイに出る。花火の音で聞こえ辛いだろうに、叔父貴はあたしの隣から放れることはしなかった。
叔父貴は最初のうちは聞こえ辛そうに片耳を手で押さえながら頷いていたが、
数秒もしないうちに大きく目を開いた。
「―――何!?………確かなのか!」
緊迫した声はいつものドスを含ませた声だったけど、いつもよりちょっと質が違う。
緊張した何かを感じて、あたしも思わず心配そうに叔父貴を見上げた。
叔父貴は驚いたままの顔をこちらに向けると、あたしの表情に気付いたのか、
大きく咳払いをして、
「ああ、分かった。お前が付いているんだな。その件はまた後で聞く―――」
と、無理やり会話を締めくくり通話を終えた。
「何……?何かあったの?」
ただごとではないその表情に言い知れない不安が足元から這い上がってきて、あたしは寒くなんてないのに、思わず肩を抱きしめた。
「お前が気にすることはない」
叔父貴は僅かに苦笑を漏らして、それでも緊張が拭い去れないのか手の中の黒いケータイをじっと見つめていた。
その表情が悲しみのような苦悶のような複雑なものを浮かべていた。
色鮮やかな花火が様々な色に変えて叔父貴の顔を照らし出す。
移り変わる色が、叔父貴の今抱えている感情のように、くるくると変わっていた。