。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
さっきよりも熱い温度を間近で感じて、叔父貴の顔がそこにあるのだと言うことに改めて気付いた。
「ど…どうしたの?」
叔父貴はあたしの浴衣の衣紋を指で僅かにずらして、あたしの肌に口付けを落とす。
ドキッ……
心臓が変な風に跳ね上がり、あたしの体に痺れみたいなものが走った。
僅かに身をよじり、叔父貴の肩を押しのけようとすると、叔父貴はあたしの肩を一層強く抱きしめ、まるで逃がさないよう腕に力を入れた。
「逃げないでくれ。
俺のこと、受け止めてくれるんだろ?」
あたしの首に顔を埋め、叔父貴がぎゅっと強く瞼を閉じる気配がした。
いつも感じる余裕が、今は微塵も感じられない。
声も、あたしを抱きしめる腕も、僅かに震えているのが分かる。
「受け止めて―――くれるか―――?」
首に埋めていた顔を戻し、あたしを真正面から覗き込むと、叔父貴は真剣な目でもう一度聞いた。
黒曜石のような瞳が揺れて、その深い黒色に魂ごと吸い込まれそうで、あたしは何も答えられなかった。
目を開いて無言で見つめ返すと、叔父貴の大きな手があたしの頬を包み込むように撫でた。
冷たい―――指先だった。
叔父貴の肩越しで見えた夜空には、
もう花火が浮かんでいなかった―――