。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
叔父貴はあたしの質問に答えず、口元に淡い笑みを浮かべてあたしの襟元にそっと手を這わせた。
「百合香の浴衣―――か……
良く似合ってる」
そう言われてあたしは頬が熱くなった。
キョウスケにも可愛いって言われたけど、こんな―――…なんて言うか照れくさいほどの熱を感じなかった。
「あ…ありがと…」
ぶっきらぼうに返すと、叔父貴は穏やかな笑みを浮かべたまま浴衣の合わせ目に手を這わせ、そっとなぞった。
ドキン
と胸が鳴り、あたしは表情を強張らせた。
「いい女がいいものを着てると―――
男ってのは脱がせたくなる」
叔父貴は低く言って、あたしの帯止めに手をやった。
少し濃い目のピンク色をした蝶々を象った変わった帯止め。
これは鈴音姐さんから借りたものだった。
『朔羅ちゃんやったら絶対似合う思うて、思わずこうて(買って)しもたんどすえ♪
ほんに女の子はかいらしいなぁ』
そう、にこにこ言って帯止めを締めてくれた鈴音姐さん。
叔父貴はその帯止めを片手で引き抜いた。