。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
あの勢いだったら響輔は自分の気持ちを、自分自身で伝えるに違いない。
それまでは黙っておこう。響輔の気持ちは響輔のものだ。
俺が言うわけにはいかない……な。
夜中の2時。パジャマパーティーはお開きになった。
「それじゃな、キョウスケ。おやすみ」朔羅がにこにこ手を振る。
「おやすみなさい」響輔は眠そうに目をこすりながら、何とか答えていた。
「おやすみ~♪響ちゃん♪」
俺が意味深に笑うと、響輔は力尽きたようにバタッと床に崩れ落ちた。
どうやら俺が盛った薬が効いたようだ。
へんっ!ざまぁ、響輔!!
朔羅は俺がイタダキだ!!
―――と言うわけで、今に至る。
途中、朔羅にぶん殴られるし、しかも今度はマジでバラバラにされそうになるし……タクさんの乱入もあった。
「萎えた」なんて朔羅には言ったけれど、正直俺は朔羅を自分のものにするのが少し怖かった。
何せ朔羅は雪斗との過去がある。
葬り去りたい―――過去。
こだわってるのは朔羅か。
それとも俺、か。
まぁこだわるって言っても、こいつが他の男のもんだったからイヤってことはないけれど。
それで朔羅が俺に対しても同じ恐怖を感じたら、
―――結局俺は雪斗と同じだ。
龍崎 琢磨、響輔。
あいつも朔羅のこと好きだっけね。……一ノ瀬。
それから川上には「朔羅のことを泣かしたら許さない!」とまで言われてる。
それぞれに好きな気持ちがあって、それぞれ違う愛情を朔羅に抱いていている。
だけど俺にとって一番高い壁ってのは、
―――もしかして、雪斗なのかもしれねぇな。
そんなことを考えながら、俺は朔羅をぎゅっと強く抱きしめて目を閉じた。
******************