。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
あたしはスラリと背の高い戒をそっと見上げた。
校長の話を聞き流しながら、色っぽい寝顔を眺めていると、
こいつが出し抜けにぱっと眼を開いた。
びっくりするぐらい真剣で強い視線にあたしが一瞬たじろぐ。
な、何―――?
すると戒はあたしを見下ろしてきて、目が合うとそっと耳打ちしてきた。
「なぁ。夏休み旅行いかね?二人きりで♪」
戒は甘くて色っぽい声で囁いて、意味深な笑顔を浮かべていた。
その笑顔が色っぽくて……
ふ、二人きりで旅行―――!!!
そ、それはお泊りってことですよねっ!!
―――いつだったか…
そう、この間の全校生徒会のときこうして体育館に集められたことがあった。
そのときマドンナ新垣 エリナが貧血で倒れたんだっけ?
「はぁ、あたしも儚く倒れてみたい。んでもって王子様に助けてもらうの!」なんて言ってたとき、
「「ない、ない」」ってリコと千里に全否定されたっけ。
バタンっ!!
あたしはエロ戒にノックダウンされ、貧血でもねぇのに、その場にひっくり返った。
「大丈夫かっ!!?」
ああ…王子さま…もとい、ヤクザの声がするぅ。