。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
無事診断書も手に入ったし、まだお昼の12時を少し過ぎたところ。
「どこかで飯でも食っていきます?」とキョウスケの提案に、
「そうだなぁ…」と考え込んで、
「あ!そだ。戒のバイト先行こうぜ♪」とあたしは提案した。
「あいつどんな顔して働いてるのかなぁ」なんてワクワクしてると、
「お嬢はホントに戒さんのことが好きなんですね」とキョウスケが少しだけ寂しそうに笑った。
「え―――……?」
「いえ、何でもありません。行きましょう」
何でもないように答えたけれど、その横顔がちょっと寂しそうな、悲しそうな影をひそませていた。
一昨日叔父貴と別れたときのように―――叔父貴と同じような表情をしたキョウスケ……
あたしの心臓がズキリと小さく痛んだ。
―――
そう言えば戒の婚約者って、キョウスケの妹だったんだよなぁ。
キョウスケとしても、やっぱ戒と妹はくっついて欲しかったに違いない。
それも新しい婚約者はこんなガサツな女だし……
“マリナ”ってどんな女の子なんだろう。
街のショーウィンドウに映った自分の全身を見て、あたしは目を細めた。
今日は白地に青い花柄が描かれてるワンピースにデニムジャケット。茶色のウェッジソールサンダルをはいてる。
髪はハーフアップにして、戒が買ってくれた花のコサージュつきのゴムでくくってある。
前に一度戒に髪を結ってもらったことあったな。
あんな風に可愛くできなかったけど…
「なぁキョウスケ」あたしはキョウスケの半袖シャツの裾をちょっと引っ張った。
「今日のかっこって変じゃない?」