。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「何だよ。来るなら一言言えよな」
とは言うものの、どこか嬉しそう。
テーブルを案内してもらって、そこに落ち着くと戒はあたしの耳元に顔を寄せて、
「ってか、お前可愛すぎ!なんで響輔相手にそんなにめかしこんでんだよ」
と囁いてきた。
か、可愛い!!?
その言葉にかぁっと頬が熱くなるのが分かった。あたしはそれをごまかすためにわざと顔を逸らした。
「で、出かけるときはいつもこんな感じだよっ」
女の子チックなワンピに、似合ってるかどうか不安だったけど、戒はこうゆうかっこ好きみたい。
良かった~。ほっと胸を撫で下ろす。
「すみませ~ん」遠くの方で女の人の声があがった。
「ほら。呼んでますよ。仕事中でしょ?」とキョウスケがしっしってな具合で手を払った。
「響輔。てめ!」と怒りながらも、「はい♪」と笑顔で向かう戒。
どうやら戒は真面目に取り組んでるようだった。
それに満足して、あたしはメニュー表を開いた。
店内は白を基調とした落ち着いた雰囲気で、ほとんどのテーブルが女の人や若いカップルで埋まっている。
ゆるやかなクラッシックが流れていて、ここに居る人たちがみんな優雅に見えた。
あたしの住む世界とは別世界だな…
とくに隣のテーブルに座ってる女の人なんて、お人形のようにきれいでお上品な大人の人だ。
ホットコーヒーのカップがテーブルに置いてあって、文庫本なんて読んでる。
うわぁ…
あたしもあんなふうになれたならなぁ
そんな風に思って、じっと見ていると、文庫本から目をあげたお姉さんとばっちり目が合った。