。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
わ、わわ!
びっくりして慌てて目を逸らそうとしたけど、お姉さんはにっこり微笑んで、また文庫本に視線を落とす。
うわっ!びっくりしたぁ。
細くてきれいな指がページをめくっている。その左薬指に高そうな指輪がはめてあった。
何読んでるのかな。詩集とか??
彼氏と待ち合わせか何かかなぁ。いかにもそんな感じだった。
あんなおしとやかで優雅な女になりてぇな…
なんて思ってると、
「お嬢、どれにします?」
キョウスケに言われ、あたしは慌ててメニュー表の方に視線を移す。
メニューは飲み物と軽食が中心で、食事はおもにサンドイッチとかパスタだった。
「わー!どれも美味しそう♪」
じっくり悩んでいると、
「ルカ!ごめん、待った?」
と、隣の席に大人の男の人が近づいてきた。
何気なく顔を上げると、その男の人は背がスラリと高くて(叔父貴と同じぐらいの長身だ。歳は叔父貴よりちょっと下に思えた)、おまけにかなりの爽やかなイケメンだった。
男の人が通り過ぎるときに、フワリといい香りが香ってくる。
わぁ…いかにも大人の纏う雰囲気。
女の人の彼氏なのかな?美男美女でお似合いだ。
いいなぁ…
戒はかっこいいけど…あたしは。
う゛~ん…
「何読んでるの?」そう言いながら男の人はにこにこ女の人を見下ろす。
「完全犯罪の本」
女の人は、本のタイトルとは反対ににっこり♪笑顔を浮かべていた。