。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
ふくじょーしの意味は結局分かんなかったけど…
美男美女でお似合いカップルだったのに、色々あるもんだな。
二人が去っていくと、あたしはようやくメニューを決めた。
海老とアボカドのバゲットサンドイッチとオレンジジュース。キョウスケはツナとオリーブのトマトソースパスタに、アイスコーヒーだ。
オーダーを聞きに来た戒が、スラスラとメモを取ると、あたしにそっと耳打ちしてきた。
「今日は初日だし、あと少しであがれるんだ。一緒に帰ろうぜ♪」
「え?マジで!一緒に帰るっ!」
「じゃ、俺も一緒に」キョウスケが目の前でにこっと笑顔を浮かべて戒を見上げた。
戒は一瞬眉をしかめて、
「おめぇは先に帰れっ」と低い声でキョウスケを睨み下ろしている。
キョウスケも無表情に戒を見上げ、その視線は空中で火花を散らしている―――ように見えた。
やっぱこの二人喧嘩してんだな。本人は否定してっけど。
「そんないじわる言うなよな。どうせ帰る場所が一緒なんだし、三人で帰ればいいだろ?」
呆れたように肩をすくめて、あたしはうんざりしたように戒を見上げた。
戒は面白くなさそうに眉間に皺を寄せて、キョウスケを睨んでいたけれど、結局それ以上は何も言わずに、戻っていった。
「なぁ…戒と喧嘩でもしてるの?」
あたしはお冷を一口飲みながら、目の前のキョウスケを上目遣いで見た。
仲良し兄弟みたいな幼馴染でもやっぱり喧嘩するんだな。ま、あたしも戒や叔父貴と喧嘩したことあるし、誰かと深く付き合ってりゃ意見がぶつかり合うこともあると思うけど。
何か喧嘩って言うより…もっと深い因縁みたいなものを感じて、あたしは居心地が悪かった。
「喧嘩なんてしてませんよ」
とキョウスケもあっさり否定。
じゃぁ何なんだよ!
と言いかけたとき、頼んだドリンクとサンドイッチ、それからパスタが運ばれてきて、あたしはその言葉を飲み込んだ。