栄人と優人ーエイトとユウトー
栄人は優人のことが大好きだった。ちょっと年の離れた弟は何かと言えば「お兄ちゃん」と甘えてきた。そんな優人から、まだ五年間しか生きていない優人から光を奪うなんて!栄人は悔しくて仕方がなかった。そして、これから先、優人の為に何でもしてあげようと決心した。優人の好きな物を食べて、優人が行きたい所に行く。それからの澤村家は、優人中心の生活だった。
「お兄ちゃん、みんな優人に優しいね。きっともうすぐ僕の目が見えなくなるからだね。」
栄人は驚いて、しばらく返事ができなかった。
(優人には何も言ってないはずだけど・・・。)
「優人、誰がそんなこと言ったの?」
「誰も言わないよ。あのねお兄ちゃん、僕、時々何も見えなくなって、真っ暗になっちゃう時があるんだ。そんな時にはケガしないように、そこに座って少し明るくなるのを待つの。でもねお兄ちゃん、この頃そうなることが多いの。もう、一人でお出掛けはできないみたい。今もお兄ちゃんのお顔がよく見えないんだけど、お部屋が暗いの?ねえお兄ちゃん、僕このまま見えなくなっちゃうの?お兄ちゃん、お兄ちゃん、僕怖いよ。一人ぼっちになっちゃうよー。」
優人は目に涙をいっぱい溜めて、小さな肩を震わせながら話した。明日が優人の七歳の誕生日だった。
それからしばらくして、優人は全く光を失った。まだ七歳になったばかりなのに、あの日を最後に涙を見せなくなった。それどころか、悲しみに泣き暮らす両親に「大丈夫だよ。僕に沢山の思い出をくれたでしょう。みんな覚えているよ。それに、これからだって忘れないからね。」そう言って笑顔を見せた。天使の笑顔を。
「父さん、母さんダメだよ。いつまでも泣いていたって。優人はまだ七歳なのに、強く生きていこうとしているんだよ。なのに、二人が悲しんでばかりいたら、優人が辛いでしょう。」
栄人も泣いていた。そして、この涙を最後に栄人自身もこれからは泣かないと決めた。
(強く生きていくんだ。)
「お兄ちゃん、みんな優人に優しいね。きっともうすぐ僕の目が見えなくなるからだね。」
栄人は驚いて、しばらく返事ができなかった。
(優人には何も言ってないはずだけど・・・。)
「優人、誰がそんなこと言ったの?」
「誰も言わないよ。あのねお兄ちゃん、僕、時々何も見えなくなって、真っ暗になっちゃう時があるんだ。そんな時にはケガしないように、そこに座って少し明るくなるのを待つの。でもねお兄ちゃん、この頃そうなることが多いの。もう、一人でお出掛けはできないみたい。今もお兄ちゃんのお顔がよく見えないんだけど、お部屋が暗いの?ねえお兄ちゃん、僕このまま見えなくなっちゃうの?お兄ちゃん、お兄ちゃん、僕怖いよ。一人ぼっちになっちゃうよー。」
優人は目に涙をいっぱい溜めて、小さな肩を震わせながら話した。明日が優人の七歳の誕生日だった。
それからしばらくして、優人は全く光を失った。まだ七歳になったばかりなのに、あの日を最後に涙を見せなくなった。それどころか、悲しみに泣き暮らす両親に「大丈夫だよ。僕に沢山の思い出をくれたでしょう。みんな覚えているよ。それに、これからだって忘れないからね。」そう言って笑顔を見せた。天使の笑顔を。
「父さん、母さんダメだよ。いつまでも泣いていたって。優人はまだ七歳なのに、強く生きていこうとしているんだよ。なのに、二人が悲しんでばかりいたら、優人が辛いでしょう。」
栄人も泣いていた。そして、この涙を最後に栄人自身もこれからは泣かないと決めた。
(強く生きていくんだ。)