栄人と優人ーエイトとユウトー
「なあに、改まって。私の方が怖いな。でも、優人君に嘘をついてもすぐにバレちゃいそうだから嘘はつかないよ。約束する。」

早和の言葉に、思い切ったように優人が話し始めた。

「俺の目なんだけど、どうなの?やっぱり光を失った目だから曇ってるのかなあ。俺って、醜い?兄貴は何も言わないけど、俺といるの恥ずかしいんじゃないかなって・・・。」

優人が全部を言い終えないうちに、早和は優人の瞼に唇を寄せていた。

「えっ、早和さん!?」

「あっ、ご、ごめんなさい。」

早和は慌てて優人から離れ、溢れる涙をこらえながら答えた。

「優人君、私は最初にあなたに言ったように決して嘘はつかない、信じて。
あなたの目は、瞳は、今まで出会った誰よりもきれいなの。
私があなたと初めて会った日のことを覚えてる?私がボーッとしてしまって、栄人さんに叱られちゃったことを。
あの時、あなたの目があまりに澄んできれいだったから、つい見とれてしまっていたの。
あなたの目を見ていると、澄んだ青空を見ているように吸い込まれそうになる。
きっと、あなたの心を映し出しているんだなあと思った。
あなたと一緒にいて恥じることなんてない。
あなたといると、心が落ち着くっていうか・・・。」

優人のその澄んだ目から涙がこぼれ落ちた。

「優人君?」

「あっ、ごめんね。嬉しくて。本当にいつも自分に自信がなかったから・・・。」

失明してからの十二年間、優人がこんなに不安でいたことを知り、早和はこれからずっと優人のその側で支えてあげたいと思った。
それが同情なのか、弟に対する気持ちなのか、それとも・・・。
自分でもその気持ちが何なのか分からなかった。
早和はそっと優人の頬に触れ、その涙を掌で拭っていた。
優人がその手に自分の掌を重ね、「ありがとう。」とつぶやいた。
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