栄人と優人ーエイトとユウトー
点滴を始めるとすぐ、優人は寝息をたてて眠り始めた。
早和はその横に座って、少し痩せた優人の寝顔を見つめていた。

「疲れていたのね。ちっとも気付かなくてごめんね。」

早和は優人の病気のことを考え、急に不安になってきた。

(先生はああ言ったけど、途中で私を見たのは何故だろう?それに、優人から症状を聞いた時の先生のあの顔色は普通じゃなかった。)

「早和さん、ちょっといいですか?」

早和の気持ちが伝わったかのように、近藤が声を掛けてきた。
早和はもう一度優人の寝顔を見てから、「はい。」と近藤の後に付いて行った。
案内された部屋には、さっき撮った優人の頭部MRIのフィルムが用意されていた。

「あなたは栄人の婚約者でした。
ですが、今は優人の側にいる。
そして二人が愛し合っていることは、この数時間で分かりました。
今から話す内容は、本来なら栄人にしなくてはならない事かもしれません。
ですが、詳しい事情は分からないにしろ、二人の様子から、早和さんには話しておくべきだと判断しました。」

早和は恐怖に震えていた。
しかし、今優人の支えになれるのは自分しかいないと思い直し、真っ直ぐ近藤を見つめ返した。
近藤もその目を見て頷き、話しても大丈夫だと判断したのか説明を始めた。

「優人には検査の為の入院と話しましたが、MRIの結果、悪性腫瘍であると思われます。
手術をするにも点在している為、難しいものになるでしょう。
また、手術をして摘出できたとしても、殆どが再発します。
下手をすると、そのまま意識が戻らないことも・・・。」

「手術以外に治療法はないんですか!?」

早和は、すがる思いで尋ねていた。

「放射線治療法や抗癌剤による治療を併用して行う方法がありますが、それは延命の為の治療にすぎません。
危険を覚悟で手術をするか、手術はせずに

延命治療のみを行うか、詳しい検査後、優人に決断してもらおうと思います。」

「優人君は、後どれ位生きられますか?」

早和は目を閉じ、その答えを待った。
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