栄人と優人ーエイトとユウトー
栄人と早和の結婚が取り止めになった話は、間もなく会社中に知れ渡った。
そして、早和が会社を辞めるなら、原因は早和にあるのだろうという噂が広まった。
早和は、里見には本当の理由が言いたくて、冷たい視線に堪えながら、里見の元へ向かった。
先日迄早和も働いていた部署に着くと、里見が忙しそうに働いていた。
上司やお世話になった人達に挨拶を終えた後、「ちょっと、いい?」と声を掛け、二人で屋上に向かった。
「今日も暑いね。昨日さあ、仕事休んだから心配して携帯に電話したんだよ。」
この二日間で、早和の人生が大きく変わった。
里見と楽しく仕事をしていたのは一昨日の事なのに、遥か遠い昔の事のように感じられる。
「ありがとう、ごめんね。昨日ずっと病院にいたから、電源切ってたの。」
「えっ、病院って・・・。早和、どこか悪いの?」
「私じゃなくて、優人君が。」
早和は、少しためらって答えた。
里見が怪訝な顔をして、早和を見た。
「優人君って、栄人さんの弟じゃない。
何で、早和が優人君といるのよ。
今度の栄人さんとのことと、何か関係があるの?」
早和は、思い切ったように話し始めた。
「里見にこの気持ちが分かってもらえるかどうかわからないけど、私、優人君のことを愛してしまったの。
栄人さんのことももちろん愛していたけど、優人君への愛に気付いた時には、他のことは見えなくなった。何度も諦めようと思ったけど、駄目なの。できないのよ。」
「ふーん、そう。」
里見の冷たい返事に、早和は言葉を失った。
「私がどんな返事をすると思った?
早和を応援するとでも言うと思ったの?
そんなこと言うわけないじゃない!
あんたは知らないだろうけど、私が栄人さんを諦める為にどんなに悩んだか。
二人におめでとうと言う為にどんなに苦しんだか。
早和は何にも分かっていない。
ずっと親友でいてねって、あんたは言ったわよね。
このまま結婚してくれれば、私はそれができた。
そして、早和が会社を辞めるなら、原因は早和にあるのだろうという噂が広まった。
早和は、里見には本当の理由が言いたくて、冷たい視線に堪えながら、里見の元へ向かった。
先日迄早和も働いていた部署に着くと、里見が忙しそうに働いていた。
上司やお世話になった人達に挨拶を終えた後、「ちょっと、いい?」と声を掛け、二人で屋上に向かった。
「今日も暑いね。昨日さあ、仕事休んだから心配して携帯に電話したんだよ。」
この二日間で、早和の人生が大きく変わった。
里見と楽しく仕事をしていたのは一昨日の事なのに、遥か遠い昔の事のように感じられる。
「ありがとう、ごめんね。昨日ずっと病院にいたから、電源切ってたの。」
「えっ、病院って・・・。早和、どこか悪いの?」
「私じゃなくて、優人君が。」
早和は、少しためらって答えた。
里見が怪訝な顔をして、早和を見た。
「優人君って、栄人さんの弟じゃない。
何で、早和が優人君といるのよ。
今度の栄人さんとのことと、何か関係があるの?」
早和は、思い切ったように話し始めた。
「里見にこの気持ちが分かってもらえるかどうかわからないけど、私、優人君のことを愛してしまったの。
栄人さんのことももちろん愛していたけど、優人君への愛に気付いた時には、他のことは見えなくなった。何度も諦めようと思ったけど、駄目なの。できないのよ。」
「ふーん、そう。」
里見の冷たい返事に、早和は言葉を失った。
「私がどんな返事をすると思った?
早和を応援するとでも言うと思ったの?
そんなこと言うわけないじゃない!
あんたは知らないだろうけど、私が栄人さんを諦める為にどんなに悩んだか。
二人におめでとうと言う為にどんなに苦しんだか。
早和は何にも分かっていない。
ずっと親友でいてねって、あんたは言ったわよね。
このまま結婚してくれれば、私はそれができた。