軽業師は新撰組隊士!
猟師が照らすは鳥の道
楓は、すぐ隣の土方の部屋の前で、襖を開けようか開けまいか悩んでいた。
(どうやって入ろう…。「お久しぶりです」、みたいな?それとも何事もなかったのように「こんにちは!」?やっぱり出直そうかな…)
襖の前を行ったり来たりしながら考えていると
「おい…、なにやってんだ?入ってこい。」
カラッと襖が開いて、土方が呆れたような顔をして立っていた。
「あ、…す、すみません。」
土方は無言で部屋の中に戻っていくので、楓は小声で「おじゃまします」と言って、中に入った。
そして、向かい合って座ったのはいいものの…
「………。」
「………。」
なんだか気まずく、お互いに無言になっていた。
この沈黙を打ち破り、先に口を開いたのは
「もう、大丈夫なのか」
土方だった。
その一言に、楓は笑って答える。
「大丈夫、です。ご心配おかけしました。」