軽業師は新撰組隊士!
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泣き疲れて、俺の胸で眠ってしまった楓の頭をなでる。
「よくやった…、よくやったよ。お前は。」
人を斬るのは、誰だって怖いもんだ。
俺だって、
まだ、初めて人を斬ったときの、あの感触を覚えている。
人間の身体に刀が刺さったときの、妙に弾力のある、グニュリとした感触。
昔は、毎夜、その感触を思い出しては吐き気が襲ってきていた。
「女に、辛い思いをさせちまったな…。」
俺は、三日前の夜を思い出す。
あのときは、――総司が訪ねてきていた。
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『土方さん…。』
『ん?どうした総司。もう夜中だぞ。早く寝ろ。』
『僕…間違えましたかね?』
俺は、総司がいつもと違うことを察し、机に向けていた体を総司へと向けた。
『どうした。』
俺がもう一度聞くと、総司は話し出した。