軽業師は新撰組隊士!
だからこそ、切ない。
「此処においてもらえて、感謝してます。頼りにもしてるんです。だから、私も頼りにされたい。」
治療が終わった指先をなでながら言う。
すると
「――それは違うんじゃないか?」
と、山崎が言った。
「え?」
「副長は、壁など作ってはいない。」
「でも、」
「すべて背負おうとするのは、―――守りたいからだろう。」
治療につかった道具を片付けながら、そう言った。
楓は首を傾げる。
「守る?」
「お前が背負って、潰れないように、副長が背負っているのだと俺は思う。」
――お前が背負っているものも、かなり重そうだからな。
微笑む山崎の言葉に、
なんだか心が少し軽くなった気がした。
それから少し話した後、お礼を言って部屋から出た。
(山崎さんて、カウンセリングの先生みたいだなぁ。)
そんなことを考えた、一日の終わり。