軽業師は新撰組隊士!
沖田と別れて、部屋に戻る間、楓は考えていた。
―――なぜ、あんな噂が流れたのか。
俯きながら歩いていて、かつ考えごともしていたから、前に誰かがいたことなんて、気づかなかった。
――ドンッ!
楓は誰かに胸ぐらを掴まれ、壁に叩きつけられる。
「…っ!?」
いきなりのことに、息がつまる。
楓にそんなことをした人は―――
「は、原田さん?」
鬼のような顔をした、原田だった。
「嬢ちゃん、あの噂……、本当なのか?」
「…え?」
原田が言っている噂とは、あの噂だろうか。
混乱していると、原田が叫ぶ。
「嬢ちゃんが反幕府の間者だって噂だよ!」
「……っ、左乃!何言っているんだ。」
永倉が、原田の腕を掴むも、原田はそれを振り払った。