軽業師は新撰組隊士!
原田は、自分と楓の間に入った土方に向かって言う。
「どいてくれ、土方さん。俺は……ソイツにまだ言いたいことがある。」
「……却下だ。」
「なんでだよ!」
「頭を冷やせ。冷静に考えろ。コイツがそんなことするはずねぇだろが。」
諭すように話す土方だが、原田は食い下がる。
「……噂ってのは、そう思われるようなことをしたから流れんだ。裏切ったと疑われるような、そんな行動をしたことも許せねぇ。」
楓はそれを聞いて、唇を噛みしめる。
熱くなる目を、気にしないですむように。
「それでも、だ。落ち着け、お前は感情的になりすぎだ。正義感も強すぎたら悪になる。」
「……ちっ。」
「楓は、部屋に戻ってろ。…んで、三日間は外に出るな。」
「…はい。」
楓は部屋に向かおうとすると、申し訳なさそうに眉を下げる永倉が見えた。
原田は気まずそうに視線を逸らしていて、
土方の表情は、見えなかった。