軽業師は新撰組隊士!
俺は咄嗟に口元を片手で覆う。
う…わ、
破壊力ありすぎじゃねぇか。
あー、ったく。
俺は楓を抱き寄せる。
座ったままだから、少し体制がキツいが気にしない。
「ぅえ!?ああああの、土方さん!?」
抱きしめているせいで顔が見えないが、耳が真っ赤だから赤面しているんだろう。
その反応にちょっとだけ嬉しくなりながら俺は言う。
「俺はよ、そういう状況的証拠みてぇのがなくたって、お前を信じてた。」
「え?」
「お前は、弱いが強い。刀を持って俺らと一緒に戦う女を信用するのは当たり前だ。ただ、信用しきるには時間が足りなかったから、原田もああなっただけなんだ。」
「……。」
「でも、時間なんかなくたって、俺は信じてんだ。いや、ただ信じたいんだ。」
俺がそう言うと、楓は俺の胸に少しだけすり寄る。
「なんで…ですか?なんでそんな無条件に私を信じてくれるんですか?」
「お前だから。」
「…私、まだ、皆さんに隠していることがありますよ?」
「ああ、それもお前から言ってくれると信じてるさ。」
俺は楓のサラサラな黒髪を梳くようになでる。