軽業師は新撰組隊士!
鬼は語る、その正体を
それからの三日間は、楓にとっては長かった。
「自分のことなのに何も出来ないんだもんねー…。」
「仕方ないであろう。我は土方の判断が的確だと思うとる。」
部屋で何もすることがなく、とりあえず刀の手入れをしながら克と話す。
「…、私もそう思うけどさ、何も出来ないのも辛いよね。」
刀に写る自分の頼りなさにため息をつく。
「ため息ついたところで何も変わらん。それにの、待つのも役目じゃろうて。」
「…うん。」
「我も噂を流した奴に腸が煮えくり返る思いじゃからの、引っ掻き攻撃の一つや二つはお見舞いするつもりじゃ。」
「なんというか……地味に痛い攻撃だね。」
克は猫特有の鋭い爪を見せ、楓は少し呆れた目でそれを見ている。
(でも私が助けてもらったのって、お父さんの引っ掻き攻撃だったような…)
楓は浪士たちに襲われたときのことを思い出す。
(…意外に攻撃力抜群?)