軽業師は新撰組隊士!
今度は男が名乗り始めた。
「俺は、土方歳三。新選組副長をしている。」
腕を組んで、偉そうに名乗ったのに、様になっている土方。
持っているオーラのせいなのか、威厳がある。
「土方…歳三。」
(新選組の人だとは思ってたけど……まさかこの人だなんて。)
楓は自らに同情した。
タイムスリップ。
落ちた先は動乱の時代、幕末。
そこで会ったのは新選組副長。
「屯所まで来てもらおうか。」
そう言った土方。
―――きっと、逃げられない。
この運命からも、
この男からも。