軽業師は新撰組隊士!
ところ変わって
局長室では、近藤と、土方、楓が対峙していた。
「本当に、辞めるのか?」
「あぁ。」
近藤の問いに、土方は穏やかに答えた。
「せっかく、一緒に生きるんだ。死んだら元も子もねぇんだよ。」
そう言って、楓を見た。
そして、また近藤に向き直る。
「なぁ、近藤さん。」
「ん?」
「今の武士の時代は、真っ暗だ。」
「…そうだな。」
「真っ暗な中じゃ何も見えない。だから、俺は武士から、刀から離れて、いったん明るい所に行く。それから今の世の中を見て……、どうしても必要ならまた刀を取るさ。」
それまでは農業でもしてのんびり暮らすよ、と言った土方に、
近藤は体の力を抜く。
「(願わくば、この二人が再び刀を持たないよう。)」
そんな世の中に変えてゆこうと、近藤は決めた。
「じゃあ俺は、新撰組の在り方を変えよう。」
「えっ!」
楓が驚きの声をあげる。