軽業師は新撰組隊士!
逃げた鳥は狙われて
――――――――…
一方、
屯所から出た楓は、帰っていいぞと言われたが、帰る場所もないので、薄暗くなり始めた町をぶらついていた。
「帰っていいぞ、って……何処に帰れっていうね。」
きっと、絶対、現代には、帰れない。
―――だって、私は逃げたから。
帰る資格が無いと言った方が正しいのかもしれない、と楓は考えていた。
そのとき
「ちょーっと、坊ちゃん。こっちに来ようか。」
「―――んっ!?」
何かの布で口を塞がれ、人通りの少ない道まで連れて行かれた。
抵抗はしたが、適わなかった。
楓は内心、舌打ちをする。