軽業師は新撰組隊士!
2:鳥は飼われて捕らわれて
そして――…
次に目を開けたときは
畳独特の匂いに包まれている、一度見たことがある部屋―――つまりは、土方の部屋だった。
「目ぇ覚めた、か。」
胡座をかいて煙管を吸いながら、布団の上で寝ている楓を見下ろす土方。
それから、
「ニャー。」
「え?あ、本当ですね。」
黒猫と戯れている沖田がいた。
「なんで…。」
―――私は此処に居るの?
その言葉を言い終わる前に、沖田が口を開く。
「楓さん、人通りの少ない場所で血まみれで倒れてたんですよ。だからつれて帰りました。他に何か聞きたいことは?」
楓はフルフルと首を横に振る。
沖田の口調は、なんだか有無を言わせないような感じだったから、何も言えなかった。