軽業師は新撰組隊士!
「あっ、あ、あの!沖田さん!?」
グイグイと楓の腕を引っ張って、町へと出た沖田。
「ん?楓さん、どうしました?」
「…歩くのが、早いです。あと、腕を離して下さい。」
人通りの多い京の町で、腕を引かれながら歩くのは難しい。
楓は先ほどから、色々な人にぶつかっては謝ることを繰り返していた。
「ああ、スミマセン。女の人の扱いには慣れないもので。」
ニッコリと、謝る沖田。
早さは抑えたが、腕は離さない。
「いえ、あの、だから離して下さい。」
「いやです。逃げられたら困ります。」
冗談っぽく、笑って言う沖田に何も言えず、結局、呉服屋まで腕を離してはもらえなかった。