軽業師は新撰組隊士!
「小さい頃は…、綱渡りができるようになったら褒めてくれて。でも、だんだん何をしても、大技が成功しても“当たり前”。」
――好きだった軽業が、楽しめなくなったんです。
そう言った楓は、寂しそうに微笑む。
しかし、顔を引き締め、前を向いて楓は言う。
「私は、逃げてきました。だけど、隊士になったのは…、逃げる為じゃないんです。――戦いたいんです、自分と。」
「……きついんですよ、辛いんですよ?」
「…、それでも、私は……残り少ない命を戦うために使いたいです。」
「え?……、どういうことですか?」
沖田は楓の首から刀を離して鞘にしまってから尋ねる。
「沖田さん、私は一回、死にました。今はこうして動いて…生きています。でも、私の命は―――…。」